デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 新卒採用

未知で困難な局面ほど人間力が必要になる

永らく中国市場に参入してきた日系自動車クライアントは、
昨今、急激に押し寄せ始めた中国ならではの環境変化に翻弄され、危機感をつのらせていた。
「デロイトならどう見る?」
その問いに対して価値ある答えを見出そうとしたコンサルタントもまた、
従来型アプロ―チが通じない局面に遭遇する。そこで気付き培った「新たな働き方」とは?

グローバルと言えば英語。その常識が大きく覆った未知の社会

日系自動車クライアントの海外進出における、現地の社会・経済を踏まえた中長期戦略の立案。これは、デロイトのグローバルプロフェッショナルネットワークに属するDTCにとって、主に東南アジア地域でいくつもの成功例を持つ、いわば手慣れた案件だ。
ところが、舞台が中国となった途端、過去の成功体験を生かし切れない問題に直面した。この案件の責任者であるパートナーの福留一希によれば、「国に対する理解度」が最大の焦点になったという。
「英語が全く通用しないんです」。本案件を契機に、東南アジアから中国に担当地域を変更した小笠原俊介は、デロイトを中国語で『徳勤』と記した、名刺を差し出した。
「中国でシェアが伸びず、生き残りが危ぶまれる中、デロイトならこの市場をどう見るかと、端的に言えばそういう案件でした。そこでまずは将来の政策やマーケットに関わるキープレイヤーにインタビューを行いました。これはどの市場でも行う定石ですが、初期段階で大きな壁に当たりました。最大の原因は、ここでは中国語しか使えず、加えて中国社会・経済の仕組みが他国とは大きく異なることです。インタビューでは、日本語が堪能な中国人スタッフの力を借りるも、母国語同士の会話の日本語訳では、得られる情報は限定的になってしまった。加えて、政治が圧倒的なパワーを持つ環境では、一般的な経営フレームワークは全く当てはめられず、納得できる結論に辿り着かない。このままではクライアントと同じ目線で会話が出来ない。DTCに新卒入社した頃に味わった、チームの期待にほとんど応えられないことへの挫折と絶望感が、再び自分に襲いかかってきたことを良く覚えています。」
その発言に頷いたのが空花弘道だ。小笠原とは共に数年前から別領域での中国案件に携わっている。
「現在は日本で実行支援のマネジメントを行っていますが、2011年から3年間は月に一度中国に出張していました。現地に行くと、複雑な気持ちにならざるを得ない現実に直面します。たとえばホテルで日本語ニュースを見ていると、内容次第で番組がカットされてしまうんです。それが当たり前な環境では、良好な関係を築くことが難しいのは仕方ないと思います。けれど政治レベルがどうあれ、現地の方々は親しみやすく礼儀正しい。その辺のギャップは、僕もかつて経験しなかったものでした」
「だから駐在しようと決めました」と小笠原。「ここ2、3年でスマートフォン決済が常識となり、駐在当初は使っていた財布も今では持ち歩いていません。個人情報が吸い上げられようとも、確実に便利になりました。現地の感覚に自分が合わせて生活するのは、時にはストレスにもなります。しかし今後、中国が電気自動車やIT産業で存在感を高めていく中で、現地の肌感覚でデロイト中国の専門家の力を引き出しながら付加価値を生み出すことに意義を感じます」

難しい場面こそ思い知らされるコンサルタントの本質とは?

果たして超大国となった中国は、他に類を見ない特殊なマーケットなのか? この問いに福留はこう答えた。
「アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジア。どの地域でも英語さえクリアできればどんなプロジェクトにも参入できる。そんな従来のパターンは中国では通用しない。そしてまた二人が語ったように、言語と密接な関係を持つ社会、ひいては国への理解も不可欠。私自身も中国出張で、未知な社会環境を体験しました。その一方でデロイト中国は年々活発な動きを見せ、日本語が話せるスタッフも増えています。もし彼らのようなコンサルタントが日本市場に入ってきたら、かつて私たちの前に立ちはだかった言語の壁がなくなり、日本人コンサルタントが淘汰されるかもしれない。そこには大きな危機感を覚えます。だからこそDTCのコンサルタントは、これまで以上に多様化する現場に応じた新しい働き方が必要になってくるでしょう」
福留が言う「新しい働き方」について、現場を飛び回る二人はどう考えているのだろう。まずは空花にたずねた。
「今回のトピックの流れで、日中混成メンバーをリードする自分の立場で若手中国人スタッフの特徴を言えば、彼らは日本人より主体性が高く、非常にガッツがあります。今後ますます増える中国案件ではさらにバリューを発揮するでしょう」。小笠原はこんなエピソードを話してくれた。
「新卒で入社して数年後にはマネジャーとなり、結婚して家を購入したい。だから大きなプロジェクトをやらせてくれと上位者に働きかける。また、ある採用面接で中国人女性にキャリア希望をたずねたときは、次の転職で履歴書にアピールできる仕事と言われて驚きました。彼らの発言の裏には先が読めない社会への期待と不安の入り混じりに加え、それでも常に進もうとする強い上昇志向があるのでしょう。これらの感覚に触れるにつれ、将来の日本社会や経済に対する猛烈な危機感が醸成されました」
「いずれにせよコンサルタントであるなら、まずはロジカルシンキングを軸にしたスキルを身につけること。その上で、これまでの常識・経験が通用しない社会の中で悩みを抱える経営者を理解する想像力、多様なバックグラウンドを持つメンバーの価値観を尊重し活かす力を鍛えること。そういう感性的な力量がますます重要になってくると思います。」
「表層的ではダメだということは、中国案件に携わって改めて感じたところです。僕も空花も新卒入社で十数年のキャリアがあり、コンサルタントとしての実力や価値観は醸成されてきたと自負しています。しかし、中国市場のような未知なる局面に差し掛かったとき、時には過去の成功体験を破り捨て、ゼロからのキャッチアップを通じて自分を変え続けられるかが今後の、つまりは新しい働き方の鍵になると思います」
話を聞いていた福留には補足しておきたいことがあるという。
「彼らの仕事は数年を経て現在も継続中です。それは、彼らがクライアントに頼りにされ続けている証明です。ここで彼らが得た知見は、インドやアフリカといった次の未知なる市場に参入する場合の伸び代になると期待しています。難しい場面に直面するたび、コンサルタントの本質とは相談されること。そこに必要なのは人間力だと深く感じます。近いうちには人間の疑問に何でも答えるAIが登場するかもしれません。その結果コンサルタントは駆逐されてしまうか? 私はそうは思いません。なぜなら、人間は単に正解が欲しいわけではなく、困難を乗り切る楽しみを共有できる仲間を得たいと思うからです。そんな感情はAIには定義できないでしょう。そしてまた人間力は、共に働く内部の人間に向けても発揮されるべきです。多様化するメンバーをよりリスペクトすれば、かつて成し得なかった新しいサービスが提供できる可能性が広がりますから。その萌芽を感じさせたのが、彼ら二人が中国案件で経験した、日本語力に加え、多様な価値観を持つ中国人メンバーとのつながりだったと思います」

他のプロジェクト事例を見る