デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 新卒採用

実行力が現場を変える

“ 企業の成長と生き残りのために
これ以上大事なものはない”という
サプライチェーンマネジメントの改革。
それを引き受けるDTCのコンサルタントは、
優れたプランを提案するとともに
一企業のほぼ全域に及ぶ部署・部門にそのプランが
浸透し実際に機能するまで
時に反発や抵抗を受けても最後まで寄り添い、
納得してくれるまで共に働く。
現場で苦闘する彼らの思いとは。

現場に寄り添うことでしかSCM 変革は達成できない

パートナーの渋谷憲彦のもとに集まったメンバーは、全員サプライチェーンマネジメントに携わっている。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、資材や部品の購買と調達、製造、物流、販売およ びサービスにおける物理的な流れと、各所で取り交わされる情報を整理統合し、効率化と最適化を図る企業活動のひとつだ。要するにSCM は企業、主に製造業が行うべきすべての業務の連携を指すわけで、渋谷いわく「仕入れと儲けのバランスを考えて、利益を上げる構造をつくるというSCM の考え方自体に関しては、町の小さな八百屋も一部上場企業もまったく同じ。企業が生き残るために、“ 顧客満足を得て利益を出す” 非常に基本的な話だが、これ以上大事なものはない」という。そして同時にSCM に関して求められるコンサルティングサービスも、複雑で多岐に渡る企業組織のあらゆる部署に分け入っていくことになる。
「たとえばテレビ。ある日本のメーカーが自社のルーツでもあるテレビ事業から撤退する直前まで追い込まれていたという案件は、日本経済の現状を表す深刻な一例と言えるでしょう。これは、液晶パネルさえ買ってくれば特別な技術を持たなくても、ある意味誰でも製造できる液晶テレビという製品の登場で、より安価な製品を提供した海外メーカーに押された結果です。撤退を甘受するわけにはいかない日本メーカーは打開策としてSCM改革を我々DTC に依頼しましたが、このケースでは生産数の管理など通常のSCM 改善提案だけでなく、確実に売れる適切なテレビのインチサイズ提案まで行いました。もはやSCM コンサルティングはその領域まで踏み込んでいるんです」

さらに近年では、大規模な産業再生に関するコンサルティングも依頼されるという。Nが現在進行中の案件を話してくれた。
「複数企業が合併し、新会社のビジネスを立ち上げるという案件に携わっているのですが、合併以前の各社に存在していた同じ名称の部署であっても、長年培われた文化や慣習によってオペレーションの方法は異なります。私がすべき仕事はその溝を埋めることですが、やはり時間はかかりますね。新しい部署の理解を得るためには、足繁く通って寄り添う以外にありません」

どんな場面でも求められるのは実行力だとKが言う。「最終的にはSCM 構築までやって初めてビジネスが立ち上がるという点でSCM の重要性は変わりませんが、最近では戦略・ビジネスをテーマに新規事業の立上げや商品企画改革といった最上流のテーマから入ることが多くなっています。さらに、異なる領域が複雑に入り組んだ難易度の高い案件が主流となっていることも近年の案件の特徴です。一例を挙げると、エレクトロニクスメーカーが野菜をつくるというような、かつて想像し得なかったビジネスが実行されるようになっています。それはもう、既成概念やセオリーだけでは通用しない“ 知恵の結集” が求められる領域と言えます。ですから我々も常に新しい知見を身につけておかなければなりません。また、そうした新しい事業を成功に導くためには、単に優 れた戦略や実行プランを打ち出すだけではなく、実際に事業が立ち上がるまでをクライアントと共に進めていくことが期待されています。そこで大事なことは、 その戦略を現場レベルに浸透させ機能させる実行力です。そのために我々は動く。立ち止まることはありません」

机の上で掌を合わせてうなずいていたFも口を開く。
「ある精密機器メーカーが事業拡大を掲げたグローバルプロジェクトを立ち上げて、私も3 年間海外に張り付きました。最初の2 年はアメリカ、その後の1 年はオランダ。やはり現場に赴いて現地の人々と共に働かないと実行レベルまでの構想の実現は叶いません」

そんな彼らのタフな実行力は、それを発揮するがゆえに様々な局面で壁にぶつかる。組織の矛盾とでも言うべきか、トップの方針に現場の社員が反発するという如何ともしがたい状況に何度も直面してきたという。

社長のオーナーシップを理解できるのは社長本人とコンサルタントだけ

「俺はこの仕事を20 年以上もやっている。自分ほど会社や業務のことがわかる人間は他にいないんだと、長年の経験に基づく強い自負・自信をもたれている現場の方々も多い」とKが言えば、Nはこんな表現を持ち出した。
「仙人ですよね。実際にそういう呼ばれ方をしているベテランは、製造業には本当に多い。」

父親とは言わないまでも相当に歳の離れているクライアント社員と若手コンサルタントとの対話。SCM 改革という使命を持った彼らはいかなる戦法で臨むのか。この問いにKが答えてくれた。
「セクショナリズムの都合や別セクションとの連携不足は改革の足かせになる場合が多々あります。分析データを作成しようにも部署間の敷居の高さから進められない等、現場では慣れてしまっていても、外から見ると“ なぜ?” と感じることもあります。皆が自分の会社をより良くしていきたいと思っていることは間違いないのですが、そのような現場の意識を変えるには、やはり丁寧に説得し、仲間と認めてもらって議論を進めるしかないんです」

「この戦略があなたにとってどんな幸福をもたらすのか、単純に言えば給料が上がりますよねと、そういう話を懇々としたり……」。これはNの経験談だ。 「その内に賛同してくれる人が2 人、3 人と増えていく。コンサルタントって地道ですね(笑)。けれど、自分には伝え切れないかもしれないと思うほど難しいテーマであっても、最初に立てた戦略が人に紐付いていれば必ず理解されます。私たちに戦法があるとすれば、彼らと共に考え、実際に汗を流して行動するということじゃないでしょうか」

そんなふうに実行力を駆使しつつ現場で揉まれる最中では、時に目的を見失いそうになることもあるという。改革が必要な現場とはそれほど過酷とも言えるが、若手コンサルタントほど自ら生み出した迷路に陥りやすいそうだ。
「アフリカ市場に打って出たいから現地で売れるものを調べてくれと言われれば、Deloitte のネットワークを利用してすぐに詳細なデータを提供できます。それは我々デロイトならではの武器ですが、頼まれるまま応じているのでは真のコンサルティングになりません。Nが話したように僕らに与えられるテーマは複雑で困難で、今日の自分は一体何をしているんだろうと思い悩むことはよくあります。でも、 そんなときは常に出発点に立ち戻るんです。このプロジェクトの目的は何だったのか。利益率アップか? 在庫減らしか? 苦しいときほど当初の目的に立ち返るのが大事ですね」。これは、自戒の念のように聞こえたFの発言だ。
そして渋谷が結論を口にする。コンサルタントにとってもっとも重要なのは、当事者意識を持ち続けること―。
「会社の成長、ましてや生き残りについて一番真剣に考えているのは事業主である社長で、そのオーナーシップを理解できるのは社長ご本人と我々コンサルタントかもしれません。しかしコンサルタントはあくまでも外部の人間なので真の当事者になるわけにはいかず、第三者的視点を保ちながら、だからこそ明確な信念を持った発言が求められます。それにコンサルタントが迷いを持つとクライアントは見抜きます。ゆえに我々は、“ 無責任な責任” を果たさなければなりません。だから社長に対しても大胆な意見も口にする。ただ、それがクライアントのためだと心から思っていなければならない。そういう当事者意識は、やはり実行力で示していかなければなりませんね。とは言え、実務レベルで現場に足を運ぶコンサルタントは大変です。社員の生の声に触れつつ上層部とも話をするので、一種の板挟み状態になりますから。それでもプロジェクトを遂行させるためには現場の理解を得なければならない。顧客の現場の力を引き出すのは、現場に張り付いているコンサルタントの力です」

パートナーの発言を聞きながら、3人は静かにうなずいた。「しかしコンサルタントがキツいと感じるのは、ヒマになることです。誰かの役に立つことを栄養にして生きていますからね。半日何もしないでいると、何かすることをくれとあちこち歩き回りますよ」。そう言って笑う渋谷に皆の表情が連鎖した。

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